コピー機のスタートボタンと決算書
赤字企業に共通する特徴は、決算書をただの数字の表と捉えていることです。
ただの表であり、注意を向けていないのですから、
当然、前月の月次決算書が社長の手元に届くのが遅くなります。
気にしていないのですから1ヶ月遅れという会社もザラです。
私が赤字企業の支援に入った際には、月次決算書(試算表)を翌月の5日までに
入手できる体制を作ってもらうようにお願いします。
すると経理担当者からほぼ必ずこのように言われます。
「仕入先から請求書が届かないから無理です」
「営業の売上が締まらないから無理です」
社長をはじめ社員が月次決算書の重要性を理解していないからこうなります。
仕入先に月末のうちに電話して、請求書を月末日に作って
すぐにファックスしてもらうようにお願いすればたいていそろいます。
また営業なんて社内の話しですから月末または翌営業日に締めるのが業務だ、
と決めればいいだけです。
できるに任せ、遅れ遅れの決算数字しか見ずに経営するということは、
羅針盤も持たず一か月前の天気図を見ながら航海をしているようなものです。
また決算書を血の通ったものと捉えているかどうかですが、
コピー機の前に『白黒印刷●円、カラー印刷●円』と書いてあるかどうかで
社内の経費に対する雰囲気がある程度判断できます。
コピー機のスタートボタンを押した結果が、決算書の事務用消耗品費の数字です。
このことを社長も社員も理解しなくてはなりません。
そのためにまずは事務用消耗品費の中身が、コピー機のカウンター料金なのか、
コピー用紙なのか、文房具なのか、それとも他の何かなのか分解します。
そして例えば、コピー機に一番近い事務担当に、コピー機のカウンター料金と
コピー用紙の使用量削減のリーダーになってもらったらどうでしょうか。
コピー機の前に毎月の使用料と目標ラインが示されたグラフを貼り注意すれば、
誰もが無駄な印刷をしないように心掛けるようになるでしょう。
会社が黒字化するために、あなたに責任を持ってやって欲しいことはこれです、
と言えば、責任を持って削減活動をしてくれることは想像に難しくありません。
些末な例ですが、たかがコピー機の管理がここまでできる会社ならば、
在庫管理も当然しっかりできているはずです。
赤字企業の黒字化は、売上を上げるよりもまずは決算書をしっかり理解し、
垂れ流しの経費を止めることがスタートなのです。
【質問】コピー機のスタートボタンで決算書の数字がどう変わるか、
社員全員が理解していますか?
赤字企業の場合、何も管理も意識もされていないため、社員がコピー用紙の束を
自宅に持ち帰ってしまっているような話しも珍しくありません。
一事が万事、赤字になるべくしてなっているのです。