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ハワイに住むのか北極に住むのか

ハワイに住むのか北極に住むのか

by 管理人
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ハワイに住みたいか北極に住みたいか、

そう聞かれればたいていの人はハワイに住みたいと答えるでしょう。

ところが多くの中小企業は北極に住んでいます。

どういうことでしょうか?



どこに住むのかということは、どの業界に属するのか、

ということを意味します。

つまり業界には、住みやすい業界と住みにくい業界があるのです。



ハワイならばTシャツに短パン、サンダル姿でも快適に過ごせますが、

北極では完全な防寒着を身につけていなければ命だって危険です。



アメリカの有名な経営学者のマイケル・ポーターさんが確立した

『ファイブフォース』という競争戦略論を基に考えてみましょう。

なんだかちょっとカッコいい名前です。(笑



どんな業界でも、その業界の利益を奪おうとする力が5つ存在します。

その力が強い業界は危険な北極、

力が弱い業界は快適なハワイということになります。



■第一の力『業界の成熟度』

第一の力、業界の成熟度には2つの視点があります。

一つめの視点は『成長性』です。

伸びている業界なのか、それとも縮小している業界なのか。



ほとんどの業界の成長性は人口の増減に比例しています。

例えば飲食業界。

日本人の胃袋はこれから減ってゆくため、縮小してゆく業界といえます。

しかしながら、もし、移民の受け入れ等が行われれば、

市場は成長してゆくことになります。



ただしこのように人口の増減に比例しない成長性もあります。

これから成長するであろう市場を上げてみましょう。



老人、介護、医療、葬儀、霊園、ペット、セキュリティ、

インターネット、宅急便、健康、教育、エコ、資源、

アウトドア、ハイテク、海外・・・

などなど。



これらの業界は市場が拡大しているためハワイに近いと言えます。

反対に日本人の人口の減少に比例して市場が縮小してゆく業界は

北極と言えるでしょう。



市場の成熟度の第二の視点は『競争相手の数』です。

競争する相手が多く過当競争が起こっていれば北極です。

完全防備の緻密な経営をしなくてはなりません。

これに対して競争する相手が少なければ、

裸に近い格好でも利益が出てしまうハワイと言えるでしょう。



■第二の力『新規参入者』

業界の利益を奪う第二の力は、新規参入者です。

ある業界がハワイであることが知れわたれば、

当然引っ越してくる企業が出てきます。

その際に気軽に引っ越してこられるかどうかが参入障壁です。



例えば、先の成長するであろう市場であげた、

霊園とペットを組み合わせたペット霊園がハワイだと言われても、

それにふさわしい土地と資金がなければ

引っ越すことはできません。



■第三の力『代替品』

業界の利益を奪う第三の力は、同業界への参入ではなく、

その代替品です。

ペット霊園はハワイだけれども、

ふさわしい土地と資金がない場合。



最近、軽トラックの荷台に焼却炉を積んだ、

ペットの火葬サービスが広まっています。

これならば、土地を持っていなくても

ハワイであるペット霊園業界に参入することができますね。



■第四の力『仕入業者との力関係』


■第五の力『お客さんとの力関係』


中小企業の場合、仕入業者には強く、

お客さんには弱いことが多いでしょう。

ただし、一概にそうとも言い切れない業界もあります。


【仕入業者<自社<お客さん】

一般的によくある構図です。



【仕入業者 > 自社 < お客さん】

一番つらい構図。

原料メーカーが限られており、

交渉権を握られてしまっているなど。

その上、お客さんからも買い叩かれればたまったものではありません。



【仕入業者 < 自社 > お客さん】

理想の構図。

いい例が冠婚葬祭業者です。

仕入れは業者数が多いために叩き放題。

そして冠婚葬祭を行うお客さんで、ハードに交渉してくる人はそうはいません。



このように業界の立ち位置として、

仕入業者、お客さんに対して強い業界、弱い業界があるのです。



自分たちの業界を取り巻く5つの力で考えたときに、

その力が弱ければハワイ、強くなれば北極に近づくことになります。



また、現在ハワイの業界であっても、

第一(成熟)、第二(新規参入)、第三(代替品)の力が存在するため、

必ず北極へ向かってゆくことになります。



さて、それでは自社のいる業界が

北極まで行かなくとも既にシベリアだよ・・・

という場合はどうすれば良いでしょうか。



考えられる方法は二つあります。

一つはハワイへ引っ越すこと。

ただしどこにハワイがあるのかわからない、

またわかったとしても

引っ越しにはお金と手間がかかります。



ほとんどの場合、未知の業界へ飛び込んでも勝ち目はありません。

そこで次のような、自社の資源と成長業界とのマトリックスを作って、

どこにハワイがあるのかを探すことをおススメします。



シベリア企業の二つ目の方法は、質の高い防寒着を着ること。

他社がどんどん倒れてゆく厳しい業界であっても、

質の高い戦略で自社は勝ち抜いてゆくことです。

質の高い戦略についてはまたの機会に。



長くなってしまったのでまとめましょう。

利益を上げるためには

『どうやって戦うか』よりも『どこで戦うか』が重要。



北極ではいくら優秀な戦いをしても利益を上げることは難しい。

ハワイならば多少戦い方がまずくても利益を上げることができる。



目の前のことを一生懸命やるのは当然ですが、

将来的にハワイへ引っ越すことを考えるのも

社長の大切な仕事なのです。

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