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適性能力とやる気

適性能力とやる気

by 管理人
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仕事を任せられる部下がいなくて、

ちょっと難しい仕事はすべて自分でやらなければならない・・・。

指示、監督、場合によっては監視することが仕事・・・。



こんな状態の社長さんはとても辛いですよね。

もちろん、ここまででなくても、

社員さんに対してもっと期待をしたい気持ちの社長さんは多いはずです。



社員のレベルに応じた社長のリーダーシップについて

考えてみたいと思います。



私は企業における人材のレベルを、

「適性能力」と「やる気」で考察することが多いです。

適性能力とは、その業務における向き不向きを踏まえた

発揮している能力のこと。



例えばいくら優秀な人であっても、

そもそも接客が苦手な人に接客業務をやらせることになれば、

適性能力は低いということになります。

適性能力は、適性さえ間違ってなければ、

経験とともに上昇してゆくのが普通です。



やる気とは、仕事そのもの、目標達成、自己成長に対する意欲です。

やる気が高いに越したことはありませんが、

高いやる気を保つために必要なのが社長のマネジメント能力です。



『うちの社員はやる気がなくて・・・』と言っている社長は

『自分はマネジメント能力がない』と言っていることと同じです。

社員のせいにしていたら、いつまでも状況は改善しません。



「適性能力」と「やる気」の2つを軸に人材のレベル分けをすると、

次の4つのレベルに分類することができます。
【レベル1】新人

業務に対する適性能力は経験不足のため高くない。

しかし、やる気は高い状態。

もしこの時点でやる気が高くなければ、通常は採用しない。


【レベル2】先輩

新人からやや時間が経ち適性能力は経験により上がっている。

しかし通常は慣れにより、

新人のころから比べるとやる気は低下している。


【レベル3】中堅

適性能力はほぼ最高クラスになるが、

やる気が最低~中くらいとバラつきがある。

社内における問題児となった場合、一番やっかいな存在。


【レベル4】幹部・同志

社長と志を同じくする同志と言える。

社長はこのレベルの人材を信頼し、

仮に思わしくない結果が出たとしても、何の後悔もないレベル。



さて当然のことですが、このレベル1~4の人材に対して、

社長の接し方は変わってきます。

新人と同志が同じ接し方のはずがありません。

ではどのように接し方が違うのでしょうか。



社長のリーダーシップは、

『指示的行動』と『援助的行動』に分けることができます。

先ほどの1~4の社員のレベルに応じてこの2つの行動の量を調整したのが

次表のリーダーシップの型です。
新人からベテランに近づくにしたがって、

指示的行動が減り、援助的行動が増えますが、

幹部・同志に対する委任型になると、援助的行動も少なくなります。



【指示型】指図、コントロール、監督

具体的な指示命令を与え、仕事の達成をきめ細かく監督する。


【コーチ型】指示、援助

指示命令を与え、仕事の達成をきめ細かく監督するが、

決定されたことも説明し、提案を出させ、

前進できるように援助する。


【援助型】褒める、聞く、促す

仕事の達成に向かって努力を促し、援助し、

意思決定に関する責任を分かち合う。


【委任型】日常の業務処理を委任

意思決定と問題解決の責任を任せる。



さてここで、多くの中小企業社長が犯している

マネジメント上の間違いを上げてみましょう。



① 放任してしまう

社員がなかなか育たない、その理由は一つだけ。

社長が育てないから。



中小企業の場合、本当の意味で社員を育てられるのは

社長しかいません。

その社長が指示も援助もせずに放任してしまえば、

社員は会社にいる限り成長の機会を失ってしまいます。



指示が必要なのか、援助が必要なのか、そのレベルを見極め、

本気で育てるしかないのです。

『まぁいいや・・・』では人は育ちません。



② 目指すものが明確でない

会社が目指す方向性と、その時に担ってもらう役割が明確でない。



大河ドラマの龍馬伝に陸奥陽之助という青年が出てきます。

後にカミソリ陸奥と呼ばれ外務大臣として辣腕を振るいますが、

青年期は周りを小馬鹿にするスレた性格の持ち主だったようです。



以下はその陸奥に対して龍馬が言った言葉です。(竜馬がゆく 司馬遼太郎)

『陸奥陽之助は万国公法の国訳を手伝い、手伝って覚え、

 あわせて英語を習得しろ』

『外国のことを、わけわからずの公卿や薩長の蛮士どもに

 まかせられるか。

 外国のことは海援隊が一手に引き受けねば、

 とほうもない国辱の沙汰がおこる。

 おンしは、日本の外務のことを一手にやれ。

 おれはそう決めている』



こう言われて奮い立たない人間がいるでしょうか?

組織が目指すところと、個人が目指すところが一致したとき、

本当に力が発揮できるのです。

この一致させる作業を社長は常に心がけていますか?



先日、30代の二代目社長さんから

『女性が多い職場で、女性同士がグループを作って対立がひどい』

という相談を受けました。



この相談に対して私の回答。

『もしかして暇なんじゃないですか?

 暇だからおしゃべりをしたり、グループを作ったりして

 遊んでるんじゃないですか?』



この会社では3つある部門のうち、

一番暇な部門が特にひどいとのことでした。



全力で仕事に取り組んでいる会社には派閥なんてありません。

会社が目指すものを、全社員が共有できていますか?



③ 画一的に扱ってしまう

当たり前のことですが、

レベルの違う相手には違う接し方をする必要があります。

これはぼんやりではなく、明確に意識して

接し方を変える必要があります。



特に注意が必要なのは、ある社員のレベルが上がってきたとき。

本来は指示的行動が減ってゆくはずですが、

明確に意識して指示的行動を減らさないと、

いつまでも半人前扱いをしてしまい、やる気をそぐことになっています。



また同一人物でも業務に応じてレベルは違います。

ある業務は委任で大丈夫でも、

新しくはじめたある業務は指示が必要な場合もあります。



マネジメントの型を相手ごと、状況ごとに

意識して切り分けるようにしましょう。

平等でないものを平等に扱うことこそ不平等。



④ 認識のズレ

社長はある社員に対して、レベル2だと思っているのに、

社員自身は自分はレベル3か4だと思っている場合。

社長はいつまでも自分を認めてくれない

と不満に思うことになります。



反対に、社長はある社員をレベル4だと思っているのに、

本人はレベル3だと思っている場合。

社長は自分のことを構ってくれない

とやはり不満に思うことになるでしょう。



これを防ぐためには、

社長と社員が認識を一致させるための話し合いが必要です。

ほとんどの中小企業の場合、

社長と社員の話し合いの時間が少なすぎるように思えます。



外資系コンサルティング会社のマッキンゼーでは、

業務5割、人事評価2割、メンタリング3割の割合で時間を使うそうです。



ではこの話し合いでも社長と社員自身の認識が違う場合には

どうすればよいでしょうか?



その場合は、1カ月間判断を保留して、

社員が想定するレベルとして扱います。

それでうまくいけば、社員の認識が正しかったこととなり

問題はありません。

うまくいかなかった場合は、結果が出ているのですから、

社長の認識で判定すればよいでしょう。



⑤ 委任できない

中小企業の社長が委任型のリーダーになるための最大の関門。

それは社長自身が権限を手放すことです。

判断を委ね、成果を委ね、責任だけを引き取ること。

こんなこと、普通の人間にはできません。

それができるのが中小企業経営者なのです。



もちろん、ただ委任すればいいわけがありません。

委任できると確信できるまで育てる必要があります。



ここで、やはり大河ドラマに出てくる、

西郷隆盛のリーダーシップについて紹介します。



西郷は故郷である薩摩にあっては、『ウドサァ』という愛称で

敬愛されていたそうです。

『ウドサァ』とは大男もしくは巨人という意味で、

語源はウドの大木のウドに、敬称のサンをつけたもの

と言われています。



西郷の故郷である薩摩にあっては、

統帥は『ウドサァ』でなければならなりません。

しかし中身までただのウドであってはウドサァとは言われません。



たとえば西郷は、若いころ地方事務所の会計係をつとめていて、

武士にはめずらしくそろばん達者でした。

同時代の誰よりも計数に明るかったような形跡がありますが、

統帥になった後は一度もそういう自分を見せたことがないそうです。



ウドサァになるための最大の資格は、

有能な部下を抜擢して仕事を自由にやらせ、

責任だけは自分がとるということです。

組織を作りながら自分の能力をどんどんどんどん捨てていく。

そして最後に残った姿勢だけがウドサァということなのでしょう。



中小企業社長は幹部を育て、

社長自身は委任型のリーダーになってほしいと思います。



ただしこれも画一性の罠にはまってはなりません。

緊急事態には瞬時にして指示型のリーダーに変身する必要があります。

状況に応じてリーダーシップの型を使い分けることが必要なのです。



リーダーシップにはこちらの本が参考になります。

薄くて読みやすい本ですのでお勧めです。

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